良い勝ち方を知って、最悪の負け方を知ったカープ。〜緒方氏を非難する理由が一体どこにあると言うのだ。
「これだけは断言出来る。」
JCOM、対巨人戦の独占中継CMはこう切り出される。
僕は後にこんな言葉を続けようと思う。
「このチームは、間違いなく今、最高の経験をしている。」
救援投手の勝利、3点差の逆転。
球炎で取り上げられた「良い勝ち方」の話。
確かに、出来過ぎなスタートを切ったのは間違いない。
ファンが抱いていた若干の期待も、何だか良い感じで実現しつつあった開幕5試合。
そして、今日僕が用意していた記事のタイトルは祝勝会を想定していた。
「キャンプで投げ込んだ1球、振り込んだ1本で勝ち取った勝利」
ジョンソンが磨きをかけたストレートは、間違いなく彼の投げ込んだ1球1球が生んだものであって、そのストレートで今日も好投を見せた。
菊池の3安打は全て、相手野手のグラブを掠めたり、或いは収まってから落ちたもの。
エルドレッドのヘッスラは、チーム全体の今年に懸ける想いの集大成と言える。
そして、そんな良い形を残して、最高の形で。
負けた。
しかし、この敗戦はまさしく「負けて兜の緒を締めよ」という野球の神様からのメッセージと取れるものだったと感じる。
2年目の緒方体制。
僕は「2年目になるこのシーズンに期待」と書いてきたが、その期待は今の所、的中している。
まず開幕3戦目に、天谷でなく下水流を起用していたら、おそらくこのナゴド3連戦の惨敗は免れなかっただろうし、星取りが0-6になっていた可能性すら感じる。
ここの英断と、ブレない方針を感じる。
頭数が揃った状態で、整備したい残りの1枚は「7回の男」。
中田、今村という実績ある二人に加え、仲尾次オスカルという新戦力。
5-0の7回。
このイニングを仲尾次に任せて、8回中田もしくは江草、9回今村というのが緒方氏の構想だったはず。
僕も全くこの起用を疑わなかったし、結果7点を取られたことも非難しない。
この起用を非難するのは間違いなく卑怯なやり方だと思う。
そもそもそれなりに広島の試合を見ている人なら、この逆転負けが緒方氏だけの責任でないことが分かるはずだ。
この継投は、後の10勝、20勝、30勝を生み出すために、必要なものだった。
昨年、中崎への不安を常に抱え続けて起用してきたという点についての対策を講じたのだ。
誰々を起用するとこういうリスクがあって、というのをしっかり目の前で見ることが出来たのは、何も首脳陣だけじゃない。
スマホの前、テレビの前、球場の中のファンも「己の慢心」に傷ついたことだろう。
去年は5/20までこの「5点差逆転」を味合わなかった広島。
今年はなんと、開幕6戦目にそんな貴重な負け方を経験したのだ。
ファンにとって、チームにとって、あまりにも残念な負け方な事は間違いない。
しかし、この負け方で落ち込んでいるようなら、セリーグの上位争いに絡む「チャレンジャー」としての資格は与えられない。
それがどうした。
俺たちは良い勝ち方も、最悪の負け方も知ってんだよ。
チームとして、広島東洋カープとして、集団でぶつかっていってもぎ取る1勝の方がよっぽど泥臭くて、カッコイイ。
そんな感じで、楽しい野球を期待したい。
何なら、セリーグの上位争いをめちゃくちゃに荒らしてみて欲しい。